2023 08.01

太郎社長の徒然日記 │ 明日は・・・。

新緑の隙間から眩く射し込む光が旅をより一層盛り上げてくれる。

私の会社がある奈良県の山々とは異なる長野県の山奥を車で駆け抜ける時は
いつもなぜだが高揚感が止まらない。全国津々浦々を駆け巡りながら、新たな出逢い探しの途中には、様々な風景も私の心に刻まれる。
それは、先日の長野県への旅もその1ページ。

「相変わらず貫禄ありますね!」

力強くも優しい声で話しかけてくるのは、野菜作りにおいて全国でも屈指の実力を兼ね備えたヘンコ(※関西弁で、風変わりの意)な有機野菜農家の萩原さんだ。

「中村社長!最近の品種は作りやすいけど全く美味しくない!だから30年前の品種で菊菜を作っているんですよ!とても作りにくいけど、とても美味しい! これ、是非食べてみてください!」そう手渡された菊菜は、確かに生でも美味しさが際立っていた。

太郎社長の徒然日記 │ 明日は・・・。
太郎社長の徒然日記 │ 明日は・・・。

萩原さんとの出逢いは13年前。
私が『有機農業研究会』という組織の会員名簿を新規開拓のために取り寄せたのが始まりだ。私はいつも、誰かの紹介やツテではなく、自分の力でご縁を拓くことを信条にしている。

萩原さんもその一人。
会員名簿の彼の紹介ページは、私の心を強く射抜いたことを今でも昨日のことにように覚えている。経歴の横に添えられた「今年一番の収穫物」というタイトルの写真には、萩原さんの幼き子供が収穫物を入れるコンテナに入ったものだった。コンプライアンスが厳しい今のご時世なら大問題になるような代物だ。ただ、自然に活かされている存在に過ぎない人間が野菜と同等であってはいけない理論はどこにもない。少々捻くれた私の解釈も相まって、真冬の雪深き山奥の一軒家で、いろんな話をしたことを思い出す。

月日は流れ今では、多くの研修生にもしっかりお給与を渡し、たくさんの野菜を最高の状態で保管する大きな冷蔵庫も新設し、美味しい野菜を全国へ出荷している。情熱の塊の萩原さんは、自身のフィールドである畑ではいつもの饒舌さに磨きが出て、愛しい野菜と昔話に花が咲いた。

別れ際、「また来ますね!」と彼に声がけした私は、急になぜだか少し寂しくなった。なぜなら変わらぬ情熱で前向きな表情の裏には、筆舌に尽くし難い苦労があるのを知っているからだ。そんな大変さと向き合ってきた時間の軌跡と勲章が目尻のシワにあらわれていた。でも、もしかすると萩原さん自身は、苦労を苦労と思っていないのかもしれない。

”今日が人生の最後の日だったら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうか?”

iPhoneを世に出した故スティーブ・ジョブズのスピーチ
毎朝鏡の前で彼が自分に向って語り続けた心の言葉。
鏡の前の私も昔に比べて、少しシワが増えたみたいだ。

ただ、こうして温かな作り手に囲まれて、琴線に触れる時間を与えてくれる環境に感謝しかない。そういう意味では、今の時間を楽しんでいる自分自身がいる。

明日は、私たちの心模様を映し出す鏡なのかもしれない。

太郎社長の徒然日記 │ 明日は・・・。
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