2023 10.19
石川県 高木糀商店 に行ってきました
石川県金沢市にある「高木糀商店」代表 高木竜さんに、
天保から続く老舗糀屋についてお話をお伺いしてきました。
金沢市の街道を進んでいくと、厳かな佇まいの高木糀商店が見えてきます。
建物は、藩政末期の建築とされる切妻・平入り形式で間口六間強の大店の構え。
正面は、二階の丈が低い典型的な金沢の町家様式。
とくに店の正面は柱間に現在でも、蔀戸を降ろす伝統的な形式を残す金沢市指定保存建造物です。
高木さんの父が息子に言った言葉は、
『後は継がなくていい』でした。
代々続く老舗屋にて生を受ける者は、農業大学を出て醸造の勉強をしてから戻ってくることが一般的です。しかし高木さんは父からの一言の後、
自分の将来を考え
『他にどんな道で成功しても、家業を棄てることは後悔するんじゃないか』
仕事をするならば
『家業でやってみたい!』そんな思いが芽生え、独学で糀の勉強をされました。
色んな蔵元・お醤油屋さん・お味噌屋さん・酒屋さんを回っていく中で、
自分の作りたい『糀』はどういうものなのか。様々な所を見て探し、
取り入れながら少しずつ納得のいく味へと変化を遂げられました。
苦労された点や難しかったことは?
の問いに、高木さんは答えます。
知識がゼロから始め、身近に聞ける人もいなかったので、苦労の連続でした。
そのため、できるだけいろんな方の意見や蔵人さんの話を聞き勉強しました。
しかし、一番苦労した点は、道具集めです。
こういった道具を作っている職人さんがもういないんです。
糀には、道具にこだわりたいという気持ちがあったからです。
昔ながらの土蔵や木桶の中で、ゆっくりと寝かしたお味噌がどんどん失われて行き、
近代的な工場の中で機械だけが回っている所ばかり。
自分が『作りたいもの、残していかないといけないもの』が何なのかと思ったとき、一つのカギになったのが道具でした。
残さないといけない風景…。
土蔵であったり、鎮座している木桶だったり。
そこで、木桶探しから始めました。
糀・お味噌については、特に季節の変わり目や夏の暑さが残っていると、仕込みの段階でミスをするとまったく味が変わったりするので、仕込みの時はものすごく緊張します。
例えば、温度計を持ちずっと同じ温度で仕込んでいても、外気温が30度の時と10度ではまったく違いますから、その辺りがものすごく難しいです。けれど、その年々の味や特徴が楽しめるので、自然の魅力を感じるこの仕事は良いと思っています。
糀菌も微生物の働きも同じ生命ですから、まったく同じものはなく
年毎に、桶一つずつ味の違いがあるのも魅力のひとつです。
ゆっくり丁寧な言葉で語りかける高木さんからは、
モノに溢れた時代においても大切なものは何なのかを問いかけている力強さがありました。
今後もさん・らいふでは、「流行り」などの軸ではなく、
本質的に大切なものを重視しながら皆さまに感動を与える企画を考えていきたいと思います。
もちろん高木糀商店さんもご紹介しますのでご期待を!
今後も皆さまに、生産者さんの想いをお伝えし、想いの詰まった商品をお手元にお届けできるよう宅配便や、WEBでもご紹介させていただきます。