急速冷凍で美味しさをそのまま閉じ込めました。スモークハウス白南風より直送でお届けいたします。
産地直送
【海抜7m】 太陽沈む出雲の豊かな燻製

”いつも変わらない”が、変わらない。
こんにちは!
数年前、飛び込みでくぐった入口の景色は、昔と変わらない。引き戸を開けた先には、積み上げられたレンガが重厚な壁となり、新顔を出迎えてくれた。チップではなく密度がある原木が、パチパチと不規則な音色で静寂を駆ける様子は、心まで整うような穏やかさだった。
「ここの燻製は、香りがとても良いですよっ!」
はじめての訪問以来、事あるごとに皆さんにおすすめしているソーセージ・ベーコンは、出雲大社すぐ近くのスモークハウス白南風(しらはえ)の手仕事が光る逸品。

白南風がスタートした1985年当時、近くの浜で水揚げされた多くの魚を燻すことから始まった。かつては、製造が追いつかないために、夜通し作業が続いたという。ただ時代の移り変わりとともに水揚げ量が減少し、燻製技術を活かしたソーセージ・ベーコン作りへとシフトした。
「私たちは、本当にたくさん作らないです。というより、”作れない”、というのが正しいのです。」
そのように、柔らかな笑顔で語りかける青木さんご夫婦。彼らは、自分たちのリズムを大切にするため、必要以上の規模感を求めていない。素材となる豚肉・塩・香辛料のみを長時間かけて燻す作業は、早朝からはじまる。すべてを手仕事で対応するには、限界があるのがその背中から伝わった。

商売とは、何なんだろうか!?
スーパー・百貨店・道の駅などで良く目にするソーセージ・ベーコンだが、一度、裏張りをじっくり見て欲しい。数えきれないほどの食品添加物の数に驚くことだろう。また、主原料である豚肉を調味料液で”かさ増し”することも日常茶飯事。「伝統の〇〇。ヨーロッパで受賞した〇〇!」という謳い文句に、いつもわたしたちは困惑する。正確には、”ソーセージ・ベーコン風”というのが正しい呼び方であると感じているからだ。似て非なるものであるのだから。またこれらの場合は総じて、原料一覧をネットで掲載していないケースが多いのも寂しさが残る。
それほど食品添加物にたよる大きな理由は、圧倒的なコストと手間の削減が挙げられる。生産量は格段にアップし、安い価格での販売も可能になる。大量消費ニーズに、とても合致しているのだろう。ただそれとは引き換えに、素材本来の食感・風味・香りは、どこか棚の奥の方に置き去りになっているのも確かだ。

各種食品添加物を無添加でソーセージ・ベーコンを製造する際、特に難しい点が新鮮な肉を使用するタイミングとテクニックだ。というのも、新鮮でない肉だと結着しないのだ。一般的には、それを補うために”結着剤”は必要不可欠である。
食品添加物は、国が認めたルールに従って使用されているものなので否定するつもりは毛頭ない。ただ、紀元前(所説あるようです)からソーセージは保存食としてこの世に誕生し、ヨーロッパでも燻製技術と香辛料を加えたものが流通するようになった。当時のシンプルな原型を現代に蘇らせる場合、保存性・発色性・風味・食感などを食品添加物にたよる補完方法は、本質的な部分から少々乖離しているように感じる。

青木 章という生き方
窓辺から差し込む光を楽しむかのように、壁に掛けられた一枚の写真。
これは、創業者である青木 章氏。彼は、「火山は生きている」の書籍を著した火山の写真家である。そして厳密に言うと、いまも彼らの帰りを待つ若夫婦が白南風の窯を守っている、というのが正しい。火山の湧き上がる煙に映る興奮、躍動、静寂などいくつもの表情に魅せられた青木 章氏は、火山を追いかけたまま、いまは帰らぬ人となった。
はじめてわたしが白南風の扉をたたいた当時、引き戸の右側の椅子に深く腰をかけて、わたしの言葉に静かに耳を傾ける彼がいたのを昨日ことのように思い出す。必死に話をするわたしと彼との間の静寂に、パチパチと響く音が合いの手を打った。
「”静”の中に、力強い心の灯を抱く人」だと感じた瞬間から数年後のいま、わたしの目の前には彼の帰りを待つ夫婦が時間を紡ぐ。

その火の粉は、新たな轍(わだち)となって。
いま白南風の屋号に寄り添う青木ご夫妻は、叔父にあたる青木 章さんと同じリズムで時を刻んでいるように感じる。それは、自身の両足でしっかり生きている力強さだ。いま思うと、この出雲の町を大切にしながら、叔父の青木さんが心惹かれ愛した火山は、青木家を一つの輪として結んでいるように思う。
壁に掛けられた「火を焚きなさい」の言葉たちは、いつも二人に寄り添いながら、彼らの人生の轍を照らしているようだ。

そういえば、この建物の入り口には、葡萄の樹が植わっている。その花言葉の一つに、「思いやり」という意味があるのを後日知った。まるで、青木家を体現している言葉に、なんだか少し嬉しくなった自分がいた。ちょっと人よりもぶっきらぼうな先代の優しさとそれを紡ぐ夫婦の物語を投影しているように感じたからだ。

食べものは、作り手以上に語りかける。
最後になって恐縮だが、私のおすすめのソーセージ・ベーコンは、芳醇な香りが特徴だ。肉・塩・香辛料のみを自然の力である火と煙だけで燻製したのだから、言葉には表現できないほどである。窯に入れる前と後では、ベーコンで2割、ソーセージで3割ほど重量が軽くなるのだから、その濃縮された旨味は言うまでもないだろう。
心躍る食卓は、いいもんだ。食べることで、日常の時間に豊かさがうまれる。そして、身体を整え、健康へも寄与するのだから、モノに溢れた物神化社会に必要なエッセンスのように感じずにはいられない。

今宵も出雲の空には、燻煙がにじむ。
神在月である11月に訪問した出雲は、冬のいざないが印象的な夕雲だった。燻製には、早朝からの余熱乾燥にはじまり、8時間を要するという。またその後、余熱を利用しながら一晩中、ゆっくり静かに窯の中で朝を待つ。一つの商品に対して、たくさんの想いがあるから一切の妥協は、そこにない。
寄せては返す波のように、平静の中にもいろんな葛藤はあることだろう。ただ彼らを見ていると、誠実なモノ創りのバトンは、確実に二人に手渡されているのは確かだ。そして今宵は、少しずつ分けていただいたソーセージ・ベーコンに舌鼓をうちながら感謝の念のとともに、穏やかな眠りにつきたいと思う。

旅の途中/島根県出雲市
写真/文 太郎社長(中村太郎)
- 名称
- スモークベーコン(発色剤不使用)
- 内容量
- 190g
- 原材料
- 豚ばら肉(国産)、食塩、黒胡椒
- 保存方法
- 要冷蔵
- 賞味期限
- 製造より1ヶ月
- 特定原材料等
- 豚肉
- 名称
- スモークソーセージ(発色剤不使用)
- 内容量
- 140g(3本)×2袋
- 原材料
- 豚肉(国産)、食塩、黒胡椒
- 保存方法
- 要冷蔵
- 賞味期限
- 製造より1ヶ月
- 特定原材料等
- 豚肉
- こちらの商品は産地直送クール便でお届けします。

生産者: スモークハウス白南風(しらはえ)
レビューを投稿するにはログインしていただく必要があります。
レビュー
レビューはまだありません。