【限りなく自然に近い】自然派シードル 2023 -オーガニック林檎使用-

希少なオーガニック林檎（有機）との出会い

全国にはたくさんの林檎農家がいるが、オーガニック認証を取得している方はたった数名しかいない。日本の気候風土ではそれほど難易度が高いオーガニック林檎だが、新しい出会い探しの過程で知ったある農家との出会いから物語は始まった。それは、「医食同源」の考えをもとに、”一日一個のりんごで医者いらず”、を目指す留目さん（青森県）だ。

化学農薬や化学肥料を一切使用せず、ミネラルを活用した土づくりを通じて、免疫力の高い林檎栽培をしている。また留目さんはとてもユニークで、鍼灸師の資格も持ち合わせながら、食と健康の関係を深く探求している人物でもある。自身の腰痛を食事の改善で克服した経験から、「医食同源」の理念のもと、農業と東洋医学を融合させた実践的な取り組みを行っている。

農園は日々、自然や動植物と共生しながら未来を描いている。そして野鳥もまた、その仲間の一員だ。美味しい林檎を見極め、突きながら、しばし小休止を楽しむ。それらの少々穴があいた林檎は、すこぶる美味しい。野鳥が本能で選ぶのほどだから。ただ、残念ながら傷ついた林檎は生食用としては販売が難しいため、美味しいを加工の技術で活かすことから辿り着いたのが付加価値と賞味期限を気にすることなく販売が可能なシードルだった。売り物にならない林檎を価値転換することで、農家の支えになれることが何より嬉しかった。

”もったいない”から自然派シードルへ。

見た目は少しばかり綺麗さに欠けるが、味は申し分のない林檎を活かしてカタチにする。近年では国産シードルを目にすることも多くなった。フランス語の語源から名付けられた「シードル」の起源は、フランスの北西部と言われている。この地域は寒いため、ブドウの代わりに林檎栽培が盛んなことからシードル（林檎の果実酒）が誕生したと言われている。また本場フランスでは、樹から落ちた林檎を使用するなど無駄をなくした商品創りが行われ、生活に密着した商品として人々の生活に寄り添っている。

さん・らいふが大切にする商品創りの一つとして、流行りに左右されない本質的な価値や持続的な要素を最大限に重視することが挙げられる。原料供給者・製造メーカーなどとの協働によって誕生する商品が末永く結ばれ、継続することで、日本の産業の支えになると信じているから。そのため、今回のシードルによる農家への支援は、醸造家がとても大事なポイントであるのは明白であった。そんな私たちの思いと日本では希少なオーガニック林檎を使用した本格派の自然派シードルの醸造家として夢をたくしたのは・・・。

自然派ワイン醸造家　大岡弘武氏との紡ぎ

私たちが醸造を依頼したのは、自然派ワイン醸造で世界的に著名な大岡弘武氏だ。誰よりも自然への畏敬の念を持ち、シンプルさと自然の旋律にしっかり耳を傾けることができる人物。豊富な経験、卓越した技術、哲学的な思想など自然派ワイン醸造において、世界を牽引する人物であるのは明白であったからだ。

ワイン（＝葡萄）のスペシャリストである大岡氏が今回特別に引き受けた自然派シードルは、ヴァン・ナチュールの作り手として、その生き様を貫く彼らしく、亜硫酸・糖・酸・酵母など一切の添加は行っていない。また、フィルターを使用した濾過もしていない。ただあるのは、オーガニック林檎のみ。

■1974年　東京生まれ
■1997年　明治大学理工学部卒業、同年ボルドー大学醸造学 DNO入学
■1999年　同大学を中退、ボルドーBTSA（醸造栽培上級 技術者養成校）に入学、2001年同資格取得
■1999年〜2002年　ギガル社でエルミタ ージュ地区栽培長
■2002年〜2006年　ドメーヌ・ティエリー・アルマンの栽培長を務める
■2002年　ラ・グランド・コリーヌ社を設立、フランスにおける日本人の個人ワイナリーのパイオニアとなる
■2013年　『ニューヨーク・タイムズ』（世界版）に取材を受け、世界の一流レストランでワインが採用される
■2016年　帰国。ラ・ グランド・コリーヌ・ジャポン社を立ち上げ、岡山県で葡萄栽培とワイン醸造を開始
■2021年　一般社団法人おかやま葡萄酒園 を設立
■現　在　日仏でワインづくりのコンサルティングを行う

楽しみ方、いろいろ。

シードルは、まだまだ日本の食文化には浸透していないが、いろんなマリアージュを楽しんで欲しい。さっぱりした味のため、特に肉や魚料理との相性が良い。また、度数が7度とワインよりも低いため、アルコールが苦手な方でもお試しいただける。

飲酒する2～3日前から酵母を安定させるために冷蔵庫で寝かせ、澄んだ液体と沈殿した澱を拡散させて2度の楽しみを堪能して欲しい。それぞれに豊かさの表情が垣間見れるのだろう。

日常使いとして、手土産として、ハレの日の一コマとして、会話に花咲くお酒であって欲しいと願っている。それはきっと、創り手たちも望んでいることだから。