社会奉仕家の優しさがにじむワイン
紫陽花2024(GRAPE SHIP)

家族愛と地域社会への優しさがつまったワイン
岡山市から倉敷方面へ車を走らせるハンドルにも力が入る。シェフから醸造家へ転身という異色の経歴を持つ松井さんに会うために、片道3時間の旅。あたり一面にぶどう畑が広がる南向きの一角に、彼のワイナリーがあった。街並みと瀬戸内が眺望できる小高い丘の上に立つ醸造所の大きな扉を開けた松井さんが、丁寧にわたしを迎い入れてくれた。

綺麗に整理整頓された様子から、彼の几帳面さがうかがえた。「モノには魂が宿る」と信じるわたしにとって、そこに広がる光景は、安心と信頼感が交差する居心地の良さへと誘ってくれた。2,3の会話もそうそうに切り上げて、おもむろに開栓した1杯を試飲した。彼のこれまでの経緯歴と想いも一緒に堪能しながら頂戴したのは言うまでもない。
訪仏で運命の出会い
松井さんは、 20 代で料理の修行ために訪仏。そこでその後の運命を変える出来事となったのが、自然派ワイン醸造で著名な大岡弘武さんとの出会いだったという。ワイン造りの奥深さ、地域との結びつき、自然との共鳴など、すっかりワインに魅了された心は、帰国後も変わることはなかった。そんな彼が、世界のスタンダードを知る大岡氏が帰国するタイミングで、弟子入りするのには、そう時間が必要なかったのは想像に難くない。
有機栽培と精密な設計
松井さんは、全国的にも珍しい有機栽培に取り組む生産者の1人でもある。降雨量の多い日本の気候では、病害虫の影響もありぶどう栽培は困難を極める。そのため、その環境に適した品種選定や雨よけのためのレインカットハウスなど、工夫による問題解決を試みているのがとても印象的だった。また醸造所がある場所から半径500メートル範囲内に集約された畑で収穫をしている。目の届く範囲の農業という観点からしても、日本の風土に適した労働集約型の経営形態だ。欧州品種の導入、栽培方法・スタイルなどを模倣する生産者が多い中、持続的な側面を鑑みた自然な流れの循環農法だと感じた。
地域との共生と社会貢献
松井さんの最大のこだわりの1つが、近隣の福祉事業所との連携だ。草取りや枝の誘引などの作業を通じて、障がい者の方々に仕事と収入の機会を提供し、地域全体で循環する仕組みを構築している。これは、ワイン醸造家でありながら社会奉仕家としての一面であるとともに、「誰もが幸せになれるモデル」を目指す松井さんの素晴らしい人間観の表れだと感銘した。

以下、自然派醸造家 松井さんからのメッセージ。
路地を歩いていたら、紫陽花の花。それは時を重ねた今も根づいて、花を咲かす。
過ぎたあの日の光景が、この一杯とともに開花する。
■ 味わい
ベリーやスミレの花、スパイスのアロマにえんぴつの芯やヨード香、バニラやトーストなどの樽感、柔らかい酸にやさしいタンニン。フレッシュ感も残しながら心地よい余韻が続きます。
■ 醸造法
猛暑の影響で8月中旬から熟したものを収穫し始め、9月末まで行いました。収穫後3日間程度陰干しして軽く凝縮させたのち、全房のままタンクに入れ密閉、3週間のマセラシオンカルボニック。その後プレスし木樽にて1年発酵・熟成させて瓶詰め。 澄剤・フィルター不使用。亜硫酸(二酸化硫黄)完全無添加。※全房=ぶどうの果皮、種子、果肉、伷(柄)を一緒に醸すこと。
■ ぶどうのこと
ぶどうの産地、倉敷市船穂町で有機農法で育てたシラーを使用しています。猛暑で寒暖差はありませんでしたが、雨が少なかったためぶどうは健全なものが収穫できました。
■ ワインラベルのこと
小学校からの帰り道のことでした。道べりに咲いていた紫陽花の美しさに目を奪わて、思わず立ち止まり、手を伸ばしたことがあります。そこで持ち帰ったひと枝は、私が初めて 挿し木をしたものであり、今でも自宅で脈々と生命を繋ぎつづけ、梅雨の季節になると満開の花を咲かせます。このワインもまた、あの日の紫陽花のように、心をゆらす存在で在り続けたいという願いを込めています。折しも、娘が描いた絵が紫陽花を彷彿とさせる仕上がりとなりました。彼女が成長して大人になったとき、子どもの頃の自分が描いたその花が、いつまでも咲き誇っていられるように、GRAPE SHIPを象徴するワインとして、これからもつくり続けていきたいという想いも込めています。
船穂の大地、太陽の恵み。
私達は、岡山県倉敷市の船穂町鶏尾地区で、マスカット・オブ・アレキサンドリアという品種のぶどうを栽培しています。土はさらさらでもなく、かといってネバネバもしていな い。ちょうどその中間のほろほろ、砂じょう土と呼ばれる水はけの良い土質が特徴です。決して収穫量は多くはありませんが、実の中に甘みと香りがぎゅぎゅっと凝縮された美味しいぶどうが育ちます。「晴れの国」とも言われるほどに、雨が少ない岡山県。日照時間とその光量も日本随一。食用ぶどうの産地としてはこれ以上の良い土地はなかなかありません。しかし、近年には栽培を断念する農家が増加し、放棄されたぶどうの温室が目立つようになりました。せっかくの素晴らしい場所と設備をこのまま放っておく手はありません。そこで、使わなくなった温室を借り受けて、ワイン用ぶどうの有機栽培を開始。2021年には醸造所も完成しました。瀬戸内海をのぞむ、風通しの良い、南向きの丘で育まれたぶどうは天下一品。この大地と瀬戸内の太陽の恵みがあるからこ そ、他に類をみないぶどうが生まれるのです。
[GRAPE SHIPワインを美味しく味わうために。]
醸造では、ワイン本来の香りや味わいを最大限に引き出すため、「無濾過」で瓶詰めをしています。そのためボトルの中には大小の澱や濁りが含まれます。これらはワインに旨味が詰まっていることの印であり「美味しさが見える」状態であると言えます。大きい澱が多く見られるワインもございますが、すべてぶどう由来の成分や酵母が固着したもので、ご飲用いただいても問題はございません。気になる場合は瓶底に静かに沈めて、澱が入らないようにゆっくりとグラスにワインを注ぎお楽しみください。 GRAPE SHIPのナチュラルワインは、製造から販売まで温度管理しております。お買い上げ後は気温の変化などによる品質の劣化を防ぐために、14度以下の冷暗所で、ボトルを立てたまま保管するのがおすすめです。ワインセラーがないご家庭では、冷蔵庫の野菜室で保管すると、美味しく味わえる期間をより長く保つことができます。
- 名称
- 紫陽花2024
- 内容量
- 750ml
- 保存方法
- 14度以下での保存をお願いします。
- こちらの商品はクール便でお届けします。
- アルコール度数 10.7度
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